今回は「あー、医者向いてないわ、やめたい」って思った時に読んでいた本について、ご紹介します。
お疲れ様です。流浪医たつまるです。
僕たち若手医師は得てして、専門医を取得して、学位とって、サブスペとって、論文書いて
そうすることが医師としてのあるべき姿だと考えがちです。
でもそれだけが全てじゃないはずですし、それができない医師がダメな医者と決まるはずがないと思います。
そう思わせてくれた一冊です。
紹介
著者のご経験
著者の勝木将人氏がどのような経緯で、ドロップアウトされるに至ったか
現在の年次や、状況などを細かにわかりやすく書かれています。
勝木先生の置かれている状況まで、自分は至る前にドロップアウトを決意しましたが、
このような状況の先輩方は、自分の在籍していた医局でも非常によく聞く話でした。
それが当たり前となっていることがおかしいはずなんですが、
これが医者世界の闇です。
うつ病の治療・労働環境との闘い方
また勝木先生の病気との向き合い方、また劣悪な環境との闘い方(証拠の集め方)は、
非常にありがたく参考になります。
「自分の置かれている環境はキツすぎないか?パワハラじゃないか?」と
少しでも思いついた方は、一度読んでみるべきかと思います。
書評
様々な生き方を知る
この本を読めば、ドロップアウトされた医師として、
どのような生き方があるのか、その一例を知ることができます。
私たちのほとんどは、
医大生時代から実習で大学病院や基幹病院を訪れ、
初期研修も似たようなところで過ごし、
専門性を高めるため、経験を積むためブラックな条件で身を粉にして働くことが、
さも当然であるかのように、または崇高なもの・王道なものであるかのように
教えられます。
指導医たちがそのように苦労してきたのだから、当然そういうもんという空気で接してきます。
でもこれは生存バイアスがかかっており、医師の生き方を考える上では、そうでない方々の生き方も知るべきです。
前述のようなレールに乗っていると、こういった先輩方には出会えません。
最近は本著のような、ドロップアウトした先を発信してくださる先輩方がおられますし
敷かれたレール以外の生き方をもっと知っていきましょう。
心の支えを見つけよう
医師の世界では、王道とされたルートから外れることをドロップアウトと言います。
この呼び方自体が、この業界の働き方改革が進んでいない何よりの証拠ですよね。
ドロップアウト=落ちこぼれること・脱落
ですからね。
一般社会では、仕事や環境が合わなければ転職することは当然のことです。
しかしながらこの業界は全く浸透しておらず、
ドロップアウトするとまるで終わり とでも言わんばかりの印象さえ与えてきます。
それゆえに過酷な労働環境のなか、我慢して働き続ける若手医師は一向に減らず、
大勢の我慢という薄氷の上に成り立っているにすぎません。
ここからいち早く離脱するというのは、非常に勇気のいることです。
しかしこういうルートもあるのか、と知ることができれば徐々にハードルも低くなると思います。
紹介した本著もそうですし、僕のような流浪医もいますので
こんな人もいるんだ、いつでも辞められるぞ、と
心の支えになれると幸いです。