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ドロップアウト→訪問診療の現状(読者様からの質問)

お疲れ様です、たつまるです。

今回はTwitter経由で、脱医局を考えておられる専攻医の方々から、ご質問をいただき

色々な質問を投げかけていただきましたので、回答を共有させていただきたいと思います。

ご本人には許可いただき、一部改変して掲載いたします。

(当記事は一部アソシエイトリンクを含みます)

内科的経験は?

脱医局を考えている5年目外科専攻医です。転職エージェントに相談したところ、訪問診療を勧められました。
先生はどこか内科的経験を積まれてから、訪問診療に進まれたのでしょうか?

5年目外科専攻医様より

コミュニケーション能力>内科力

以下で回答します。

僕は某外科からドロップアウトして訪問診療となりましたので、内科的経験は一般的な臨床研修で身につく程度のものでした。

訪問診療において重要なのは、内科的能力というより調整能力コミュニケーション能力と考えます。

調整能力とは、
入院が必要な場合→紹介、入院先確保
在宅医療の場合→訪問看護師さんの手配や指示、家族の介護力の把握
といった感じです。
診断・治療行為よりも環境調整が主になります。


コミュニケーション能力とは、主に患者家族に対しての看取りの話や、ケアマネ・看護師などへ方針を共有することを指します。

どちらにおいても、急性期病院・基幹病院ではどの診療科でも経験することはなく、訪問診療特有のものです。

出身科は関係ないと思います。

手技は身につけられる?

訪問診療は外科でされていた業務と全然違うとは思うのですが、特に抵抗はありませんでしたか? 後、手技についても短期間で習得できるものでしょうか。

読者様より

手技の難易度は易しい

手技は比較的短期間で習得可能です。

求められる手技は、尿道バルーン交換、膀胱瘻や胃ろうのボタン交換、気切のチューブ交換などですが、在宅の場合は100%慢性期なので瘻孔などはしっかり完成してることが多いです。

以前これに関してツイートした時は舐めてるだのなんだの言われましたが、舐めるとかじゃなく簡単です。
CV穿刺や動脈穿刺からのカテーテル操作、胃瘻造設や気管切開、各手術手技に比較すれば、当然難易度は下がります。元からあるものを交換するだけですから、0→1で作成するのとは訳が違います。

重要なことはこの状況はまずいかどうか判断すること、難しいだろうと尻込みしないことだと思います。

例えば胃瘻ボタン交換に関しては、以下のサイトに記載がありますし、牛乳での確認などがあります。

ひたすら病棟で雑務をやらされた先生の手技力を持ってすれば、全て一度やれば習得可能と思います。

この最初の習得をびびってしまうと、手技系のできない訪問診療バイト医が爆誕し、医療機関側としては非常に使い勝手の悪い存在になってしまいます。

単発バイトで交換する必要はないと思いますが、定期非常勤である程度手技をお願いできる先生は重宝されるようです。(勤め先の在宅部事務さんから伺った話です)

積極的に習得されることをお勧めします。

訪問診療はハード?

訪問診療の業務自体はハードではないですか?外科をされていたので比較するのは難しいと思うのですが…。

質問者様より

地域の民度によりますが、ハードです

・患者家族との関係性(クレーマー、理解力のない親族など)
・限られた医療資源
といった点はハードと感じられるかも。

病院の外来ではクレーマーが現れても周りに人が居ますので何とかなりそうですが、訪問診療は1人、誰かいるとしても同行看護師や事務員くらいのものです。自宅というのは気が大きくなりやすいのか、横暴になる患者や家族もチラホラいます。
トラブルにならないように細心の注意を払いながら診療するのはなかなか億劫です。
僕はいざという時に武力で対抗できるよう、体を鍛えています。残念ながら言葉が通じない患者家族も、少なからずいるためです。

画像はイメージです。でもこれくらいが目標です。

コミュニケーションに関しては、適宜本を読んで勉強しております。自衛のため、患者満足度のためにコミュニケーション能力の向上は欠かせません。

在宅医療における良本はこちら

また家でできることは本当に限られる(バイタル、身体所見、血液検査はすぐに分からない、ポータブルエコーは見づらい)ので、 「これで何が分かるねん」ということも
しばしばあります。
しかしそこで「こんな可能性もあんな可能性もあって精査しないと分かりません」という医学的に妥当な答えは、在宅医療の場では微妙です。
高齢だから敢えて精査しないという考えで家で過ごしている方もいるためです。
内科の優秀な先生ほどそこに苦しんでおられる印象です。この辺りもハードかなと感じます。

家庭があっても続けられるか

脱医局後、訪問診療を始めようと考えていますが、子どもがいるので、週4夜勤なしで始めようかと考えています。続けていくことは可能でしょうか。

4年目女性医師 様より

契約をシビアに結ぶ

契約条件をしっかり確認、詰め込めば続けることは可能かと思います。
訪問診療をする医療機関、特にクリニックなどは契約内容がガバガバで、どうとでも受け取れるような内容で後からあれこれやらされるケースを散見します。
夜勤なしということですが、訪問診療では予定通りの訪問に急遽緊急往診が入ることが多いです。
それも先生に見てもらいますよーという契約なのか、ちゃんと時間で区切ってくれるのかの確認は大事です。

しかし、基本的に訪問診療という世界は慢性期ではあるもののオンコールがっつりあります。
例えば週4常勤で雇用される条件として、オンコールを後から要請されるなんてこともあり得るのでお気をつけください。

まとめ

訪問診療の単価がいいのは、
診療報酬が高い&誰もやりたがらない 
からです。

単純に需要と供給のバランスで報酬がいいだけです。

一時期だけ経験することは、若手医師にとっては割と良い面もあるとは思いますが、その分のリスクや大病院では感じることのなかった不便さ、危うさを実感することにもなります。

オススメは週2回くらい非常勤で始めてみるのがいいかもしれません。いきなり常勤全開で行くとドッと疲れます。(ソースはわい)

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訪問診療の現場で必要と思われるスキルについて書いてます。
訪問診療の現場は基本的に医者1人です。事前学習は欠かせません。

 

訪問診療の移動時間はめっちゃ暇です。耳学習が一番時間を有益に使えますよ。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




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